債権者、債務者

English translation: obligee, obligor

05:48 Jun 14, 2020
Japanese to English translations [PRO]
Law/Patents - Law (general)
Japanese term or phrase: 債権者、債務者
あるsocial media に対し、名誉棄損のため投稿者の情報開示を請求する仮処分命令申立書を翻訳しています。申立人は「債権者」、そのsocial mediaは「債務者」と記載されています。例えば、「債権者は、債務者に対し、xxxxの開示請求権を有する...」等の文章です。債務者は米国が本社なので、翻訳が必要です。債務者という場合、日本の法律では、「行為を履行する義務のある人」といった、金銭だけでない概念もあるので、その用法で使っていると思うのですが、例えばこれを、Obligor ,Obligee と訳した場合、英語では、同じように非金銭的な意味として理解されるものでしょうか。それとも、Plaintiff, defendantとした方が、誤解がないでしょうか。仮処分の段階での、当事者の名称に困っております。どうぞご教示宜しくお願いいたします。
ZABESUKE
Japan
English translation:obligee, obligor
Explanation:
具体的にどういう権利と義務が対象となっているか把握できないため、確かな答えはできませんが、米国では一応「obligor」及び「obligee」は普段、金銭に関する権利・義務について使われているようです。例えばグーグルで次の検索をすると...

"obligee" "obligor" site:https://www.federalregister.gov/

...最初の検索結果は「VESSEL FINANCING ASSISTANCE」に関する定義の条項で、このコンテキストでは次のように定義されています:

「Obligee means the holder of an Obligation.

Obligor means any party primarily liable for payment of principal of or interest on any Obligation.」

https://www.govinfo.gov/content/pkg/CFR-2019-title46-vol8/xm...


その他の検索結果のほとんども金銭的な意味で使っているようです。

なお、「債務者という場合、日本の法律では、「行為を履行する義務のある人」といった、金銭だけでない概念もある」とお書きになりましたが、http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01 ではそうした意味の例が見当たりません。また、幾つかの辞書を見ると金銭の概念しか出ないようです:


「債権者に対して一定の給付義務を負う者。 ⇔ 債権者」
『スーパー大辞林 3.0』

「特定人(債権者)に対して、一定の給付をなすべき義務を負う者。⇔債権者。」
『デジタル大辞泉』

「債権者に対して給付の義務をもつ者。債権者。
*民事訴訟法(明治二三年)〔1890〕五九八条「抵当ある債権の差押の場合に於ては債権者は債務者の承諾を要せずして」」
『日本国語大辞典』

「借りた金を返す義務がある者。かりて。」
『新選漢和辞典 』

「特定人(債務者)が他の特定人(債権者)に対して、一定の行為(給付)をすることを内容とする義務。金銭を借りた者が貸し手に対して、その返還をしなければならない義務など。⇔債権。」
(dictionary.goo.ne.jp)


そして、ある法律事務所の「法律用語集」では次のように定義されています:

「債権者とは、債権(法律上相手に請求できる権利)を持ち、特定人(債務者)に対して、一定の給付を請求する権利をもつ者のこと。
債務者とは、債務義務を負う者のこと。債権者に対して一定の給付義務を負う。」
https://www.taiyo-lawoffice.com/law_glossary/detail.html#:~:...、債権,の給付義務を負う。)


上記などを考えると、もしかするとこの場合、申立人とSNSとの間に何かの金銭関係が存在する可能性もあるではないでしょうか?

--------------------------------------------------
Note added at 11 hrs (2020-06-14 16:58:04 GMT)
--------------------------------------------------

ご参考までに、戦前の2本の辞書の説明を追加させていただきます:


『大日本国語辞典』, 卷二 (上田万年, 松井簡治 共著), 富山房, 1941, p. 869 (https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1870644/439)

さい-む 債務(名)【法】特定の人に對して特定の行爲又は不行爲をなすべき義務。卽ち、借りを返すべき義務の類。(債權の對)民法第四百十二條「債務の履行」


『法律語新辞典』(新井正三郎 編), 新井正三郎自治館, 1931, p. 403 (https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1275688/211)

【債權】特定人間の法律關係にして、當事者の一方が他の一方に對して或給付を要求する權利なり。換言すれば一方が相手方に對し特定の行爲又は不行爲を要求する權利なり。
 例えば金錢の貸主が借主に元金及利息辨済の請求をなす權利の如きは其尤も著しき例なり。而して債權は物權に對し財産權中尤も主要なるものなり。

--------------------------------------------------
Note added at 5 days (2020-06-19 08:30:50 GMT) Post-grading
--------------------------------------------------

ZABESUKEさん、無用な返答しかできなくて申し訳ございませんでした。往古の漢文でも「債」の字にはもともと金銭的なニュアンス以外にも幾つか意味があった(http://www.guoxuedashi.com/hydcd/43885w.html)にも拘らず、日中とも大昔から現在に至るまで金銭的なニュアンスが一番強かったようです。英語では逆に「obligor, obligee」については語源的に言えば「金品」の意味が薄いはず(例えば「債券」がイタリア語で「obbligazione」となっているのに対して、英語では「bond」です)なのに、現代では90%以上の場合には「お金」を意味するように使われているようです。従って、日本の「債」のニュアンスを英語で100%忠実に表す表現はピンと来ません。
Selected response from:

Mark Pleas
Japan
Local time: 17:46
Grading comment
Markさん、詳細にわたる解説、どうもありがとうございます。ご指摘のように、債務は「一定の行為をなす義務」で、物を渡す・騒がないなど、かならずしも金銭ではないようです。(これは、法関係の教授に確認済みです。)今回は、情報開示についてで、Obligeeだとやはり金銭的なニュアンスになってしまうのですね。その点が一番知りたかったので、大変助かりました。
4 KudoZ points were awarded for this answer



Summary of answers provided
3applicant, respondent
Port City
3obligee, obligor
Mark Pleas


  

Answers


1 day 5 hrs   confidence: Answerer confidence 3/5Answerer confidence 3/5
applicant, respondent


Explanation:
ZABESUKE さんの翻訳している文章の場合、請求者には applicant、もう一方の当事者には respondent がふさわしいと思います。

Applicant: A person who applies to a court for an order, direction or decision.
Respondent: The person against whom an application to the court is made (or the opposing party to an appeal).
https://www.justice.govt.nz/about/glossary/

--------------------------------------------------
Note added at 1 day 6 hrs (2020-06-15 12:08:43 GMT)
--------------------------------------------------

上で「請求者」と書きましたが、「債権者」と「債務者」の関係は「請求者」と「被請求者」になっています。

Port City
New Zealand
Specializes in field
Native speaker of: Native in JapaneseJapanese
PRO pts in category: 51
Notes to answerer
Asker: Port cityさん、私も、この場合、Applicantがふさわしいかと思うので、ご意見を頂けて心強いです。ご回答いただき、ありがとうございました。

Login to enter a peer comment (or grade)

9 hrs   confidence: Answerer confidence 3/5Answerer confidence 3/5
obligee, obligor


Explanation:
具体的にどういう権利と義務が対象となっているか把握できないため、確かな答えはできませんが、米国では一応「obligor」及び「obligee」は普段、金銭に関する権利・義務について使われているようです。例えばグーグルで次の検索をすると...

"obligee" "obligor" site:https://www.federalregister.gov/

...最初の検索結果は「VESSEL FINANCING ASSISTANCE」に関する定義の条項で、このコンテキストでは次のように定義されています:

「Obligee means the holder of an Obligation.

Obligor means any party primarily liable for payment of principal of or interest on any Obligation.」

https://www.govinfo.gov/content/pkg/CFR-2019-title46-vol8/xm...


その他の検索結果のほとんども金銭的な意味で使っているようです。

なお、「債務者という場合、日本の法律では、「行為を履行する義務のある人」といった、金銭だけでない概念もある」とお書きになりましたが、http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01 ではそうした意味の例が見当たりません。また、幾つかの辞書を見ると金銭の概念しか出ないようです:


「債権者に対して一定の給付義務を負う者。 ⇔ 債権者」
『スーパー大辞林 3.0』

「特定人(債権者)に対して、一定の給付をなすべき義務を負う者。⇔債権者。」
『デジタル大辞泉』

「債権者に対して給付の義務をもつ者。債権者。
*民事訴訟法(明治二三年)〔1890〕五九八条「抵当ある債権の差押の場合に於ては債権者は債務者の承諾を要せずして」」
『日本国語大辞典』

「借りた金を返す義務がある者。かりて。」
『新選漢和辞典 』

「特定人(債務者)が他の特定人(債権者)に対して、一定の行為(給付)をすることを内容とする義務。金銭を借りた者が貸し手に対して、その返還をしなければならない義務など。⇔債権。」
(dictionary.goo.ne.jp)


そして、ある法律事務所の「法律用語集」では次のように定義されています:

「債権者とは、債権(法律上相手に請求できる権利)を持ち、特定人(債務者)に対して、一定の給付を請求する権利をもつ者のこと。
債務者とは、債務義務を負う者のこと。債権者に対して一定の給付義務を負う。」
https://www.taiyo-lawoffice.com/law_glossary/detail.html#:~:...、債権,の給付義務を負う。)


上記などを考えると、もしかするとこの場合、申立人とSNSとの間に何かの金銭関係が存在する可能性もあるではないでしょうか?

--------------------------------------------------
Note added at 11 hrs (2020-06-14 16:58:04 GMT)
--------------------------------------------------

ご参考までに、戦前の2本の辞書の説明を追加させていただきます:


『大日本国語辞典』, 卷二 (上田万年, 松井簡治 共著), 富山房, 1941, p. 869 (https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1870644/439)

さい-む 債務(名)【法】特定の人に對して特定の行爲又は不行爲をなすべき義務。卽ち、借りを返すべき義務の類。(債權の對)民法第四百十二條「債務の履行」


『法律語新辞典』(新井正三郎 編), 新井正三郎自治館, 1931, p. 403 (https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1275688/211)

【債權】特定人間の法律關係にして、當事者の一方が他の一方に對して或給付を要求する權利なり。換言すれば一方が相手方に對し特定の行爲又は不行爲を要求する權利なり。
 例えば金錢の貸主が借主に元金及利息辨済の請求をなす權利の如きは其尤も著しき例なり。而して債權は物權に對し財産權中尤も主要なるものなり。

--------------------------------------------------
Note added at 5 days (2020-06-19 08:30:50 GMT) Post-grading
--------------------------------------------------

ZABESUKEさん、無用な返答しかできなくて申し訳ございませんでした。往古の漢文でも「債」の字にはもともと金銭的なニュアンス以外にも幾つか意味があった(http://www.guoxuedashi.com/hydcd/43885w.html)にも拘らず、日中とも大昔から現在に至るまで金銭的なニュアンスが一番強かったようです。英語では逆に「obligor, obligee」については語源的に言えば「金品」の意味が薄いはず(例えば「債券」がイタリア語で「obbligazione」となっているのに対して、英語では「bond」です)なのに、現代では90%以上の場合には「お金」を意味するように使われているようです。従って、日本の「債」のニュアンスを英語で100%忠実に表す表現はピンと来ません。


    https://www.govinfo.gov/content/pkg/CFR-2019-title46-vol8/xml/CFR-2019-title46-vol8-sec298-2.xml
    https://www.taiyo-lawoffice.com/law_glossary/detail.html#:~:text=債権者とは、債権,の給付義務を負う。
Mark Pleas
Japan
Local time: 17:46
Works in field
Native speaker of: Native in EnglishEnglish
PRO pts in category: 16
Grading comment
Markさん、詳細にわたる解説、どうもありがとうございます。ご指摘のように、債務は「一定の行為をなす義務」で、物を渡す・騒がないなど、かならずしも金銭ではないようです。(これは、法関係の教授に確認済みです。)今回は、情報開示についてで、Obligeeだとやはり金銭的なニュアンスになってしまうのですね。その点が一番知りたかったので、大変助かりました。
Login to enter a peer comment (or grade)



Login or register (free and only takes a few minutes) to participate in this question.

You will also have access to many other tools and opportunities designed for those who have language-related jobs (or are passionate about them). Participation is free and the site has a strict confidentiality policy.

KudoZ™ translation help

The KudoZ network provides a framework for translators and others to assist each other with translations or explanations of terms and short phrases.


See also:
Term search
  • All of ProZ.com
  • Term search
  • Jobs
  • Forums
  • Multiple search